哲学オタク・秀一郎の人生相談室

ナニワの哲学オタクが、哲学を生かして、あなたのお悩みに回答します!

クライアントからの愚痴電話にうんざり……

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Q4、それって‥‥私がしないといけないんでしょうか?

 

フリーランスで仕事をしています(未婚・女です)。

クライアントの某社長(70代前半の男性)から仕事外のことで頻繁に電話がかかってきます。
内容は人間関係のことでの愚痴がほとんど。
正直、鬱陶しいですが、お仕事をいただいていることと、社長とはいえ、従業員が1人だけの零細企業なので、愚痴を言う相手もいないのだろうという思いから、毎回適当に相槌を打って聞いています。
先日の電話では体調を崩したということでした。
病院に行ったところ、「帯状疱疹」と診断され、薬を処方されたものの、昨夜遅くに痛み出したとのこと。
救急車を呼ぼうかと思ったけれど、同じマンションの住人に迷惑がかかると思い、従業員に電話して、「最寄りの救急病院の場所を調べて欲しい」と頼んだところ、「こんな時間に電話してきて非常識だ」と言って、調べてくれなかったそうです。
私に電話をしてきたのは翌日のお昼頃。
「痛みはおさまったものの、買い物にも出られないから食料が家の中に何もない。従業員は薄情だ。こんな仕打ちを受けるとは……」
と、延々と愚痴を聞かされました。
それを聞いているうちに、(何かしないと、私のことも後で色々な人に悪く言うのではないか)と不安になってきました。
それで、電話を切った後、宅配サービスで食料品や飲料を社長宅に届ける手配をしました。
が、正直なところ、私がそこまでする必要があるのだろうか…とモヤモヤしています。
 
社長は離婚していて、現在は一人暮らしです。
普段は仕事で全国を回っているせいか、近所に頼れる知り合いもいないようです。
数年前に病気で入院した時には、私に毎日電話をかけてきて、「着替えがない」「心細い」などと言うので、仕方なく病院に通って、洗濯物を洗って届けたりしました。
年齢的なこともあるので病気の時に冷淡な態度をとってはいけないと思うものの、社長のことは個人的にはあまり好きではありません。
すぐ感情的になり、機嫌が悪いと怒鳴り散らし、仕事で無理ばかり言う反面、嫌なことがあったり気弱になったりすると落ち込んだ声で電話をしてくる……仕事をいただいてなければ、遠ざかりたいタイプの人です。
 
秀一郎さん、私は今後、どのようなスタンスでこの社長に対応すればいいでしょうか?
健康を害している様子ですので、この先もまた「具合が悪い」「入院した」などと連絡してくることが予想されます。
身内でも恋人でもなく、好きでもない人に、私はどれくらいのことをしなければいけないのでしょうか。
教えていただけたらと思います。
 
(らんらん   フリーランサー・48歳)
 
A:不協和音を響かせながら生きるのもナニワのおっちゃんの生きる知恵
ボチボチいきましょか
    
 
とかく人間関係は難しい。
と云うよりも厄介なシロモノでそれから逃れて生活出来ません。
人間は関係を結び生きていくことを本性としています。
これを関係の絶対性と言います。
実存主義哲学者であるキルケゴールらがうちたてた概念です。

それに対して人間は、個ごとに意思と知恵をもち自我を実現しようとします。
その実現の仕方がまちまちで相手との齟齬(食い違い)を生みます。
これを思想の相対性と言います。
つまり人間存在は、関係の絶対性に縛られ、思想の相対性を主張、実現しようとするのです。
厄介といえば厄介で、これが人が持つ最大のストレス源になるわけです。
だから人はどこかで折り合いをつけて自分を納得させなければなりません。
それが出来ず鬱になる人も、また最悪の場合自死に至る人も出てきます。

さて納得の仕方に模範解答はないと思います。
どんな解答でも、悩む本人がこの病みから少しでも解放されるのならそれを善しとしましょう。

さて、この場合です。
社長たる人物、問題対処能力にはなはだ欠け、自己実現が稚拙と言わざるをえません。
それが彼の人生、彼そのものです。
歳も歳だし、彼に改善?を求めても無理です。
ここはらんらんさんが気持ちを大きく構えて、善をできる範囲で実行すれは良いと思います。
それも、軽く明るく爽やかに。
これが一番。

苛立つ気持ちをいだきながら善を実行する、これもまた人生です。
それで周りのみんなが少しでも幸せになるのなら結構なことです。

思想の相対性に捉われることなく、不調和和音を響かせながら生きるのも、大阪人のボチボチ人生の知恵。
春風のような爽やかさをらんらんさんの最高の生きる武器として活用し、明るく前進していきましょう。
一歩前進、二本後退。
そしてまた一歩。
これで良いのです。